インスピレーション遍路(評価: )
女一人歩き遍路の体験記である。特に理由もなく、「ひらめき遍路」であったという。中年で退職、ただなんとなく四国遍路に憧れ、取り憑かれたように…。
42日通し遍路の後にも、一年も経たないうちに、また何回かに分けて遍路に出ているという。一生「お四国病患者」でいようと決めているという。「人生は遍路なり」という言葉が実感されるともいう。
本書は、その最初の遍路をふり返り、思い出に残るところは特に詳しく生き生きと表現している。第3番金泉寺門前でお賽銭袋を接待でもらって感激する。老女「お接待はもらわないかん。お母さんはお元気か、それやったら、おみやげにもう一つもっていってや」
22番から民宿まで…それまで、何度か「次の札所まで乗っていきませんか」と声をかけてもらいました。しかし、「歩いていますので、お気持ちは、ありがたくいただきます」と断っていました。「いま、声をかけてもらったら〈合掌〉してのせてもらうのに」まったく勝手な話です。
結願の日に…いよいよ大師堂に向かいました。手を合わせ、般若心経を読みながら声が震えています。目の裏がうるみ、口の中が乾いて、足元から体が揺らいできます。体が薄っぺらくなって透きとおり、風が吹き抜けていくようでした。…しかし、なにかがいっぱいに満ちている気もしました。満足でした。感謝、感謝。ただ感謝。
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