経験に裏打ちされた「実践的方法論」(評価: )
どんな書店に行っても、いわゆる「自己啓発本」が洪水のように溢れていてる。しかし、そのほとんどが、(5ページあれば説明できるような)小手先のテクニックを(何十倍にも薄めて)披瀝するだけの陳腐なハウツーものか、または「気合」とか「根性」といった単語をやたらと連呼する空疎な精神論という両極端に堕しているという印象を受ける。
本書は、荒廃した中学校を立て直した著者自身の経験に裏打ちされた「実践的方法論」を、それが生まれた経緯をところどころに織り交ぜながら、かなり詳しく解説している。教師としての自身の経験を、様々な方面から手法を学びながら、目標達成のための実践的な方法論へと落としこむという苦労の跡が行間からひしひしと伝わってくる。「クール・ヘッド」と「ウォーム・ハート」のバランスが取れていて、著者の主張はきわめて説得的である。特に、いかに「強い心」をつくるかについての議論はとても興味深い。
ビジョン、ビジョンと一人でやたらと騒ぎ立てているどこぞの府知事にはぜひ読んでもらいたい内容。薄っぺらな感情論と素人の単なる思い付きを教育の現場に持ち込む前に、もっとやるべきことがあるということが、(中学生レベルの読解力があれば)本書からわかるだろう。
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