多様性という平成的価値観(評価: )
終身雇用は既に崩壊した。
大企業に就職すれば一生安泰という考え方はもはや通用しない。
時代は大きく変わった。中高年層は遺産を活かして逃げ切ればよいが、これから社会に参入していく若者たちはどのように生きていけばよいのか。
本書ではしたたかに生きる若者たちが紹介されている。
本書を読んで思ったのは時代の変化に最も対応し切れていないのは従来型の企業であるということだ。つまりは中高年層、それもエリート中高年層の思考が強く反映される組織こそが旧来の価値観にしがみつき、新しい時代の若者の中でも優秀な層に見放されつつあるという事実だ。「最近の若者はバカになった」のではなく「バカな若者にしか相手にされなくなった」という視点の変換は強烈な印象を与える。
しかし、考えてみると大企業の終身雇用といっても出世競争に敗れれば出向もある、そもそも中小企業では終身雇用というもの自体が保証されていなかった。昔から職に定着しない若者はいたし、芸術や文学といった夢を求めて定職に就かずに自分の道に邁進する若者もいた。勿論、海外に活躍の場を求めて日本を出た若者もいた。現在、盛んに言われるような新しい若者は庄和の時代にも存在はしたのである。平成になって数が増えたのは事実だろうが平成になって新しく登場した人々というわけではないだろう。
大きな変化は画一性の昭和から多様性の平成へという時代の変化である。
高度成長期を過ぎ、同じ価値観で人々が生きる時代は終わった。これからはそれぞれがそれぞれの価値観で生き、共生する時代である。自分で道を切り開いていかなければならないため、おそらく多くの人間にとって平成は昭和ほど生きやすい時代ではないように思う。格差も拡大して行くであろう。それでも自分が自分らしくいきることのできる時代は幸福な時代ではないだろうか。我々は昭和の夢にまどろむのではなく、平成の現在に生きなければならない。
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