情報は豊富だが。。(評価: )
東アジアでの経済統合の動きがますます深化している現在、日本は国内の無意味で排他的なネガティブ・ナショナリズムを解決できないまま、世界経済の流れに遅れを取りつつある(と、海外から離れて今の日本をみると、かなり悲観的になってしまう)。日本経済にとってのエネルギー源の確保と多様化という死活問題を直視し、それに対し経済合理性をベースとした対応を求める本書の主要な議論には同意せざるをえない。また多様な情報に学ばされるところも多い。しかし、全く参考文献も付されておらず、地図や表、グラフの出所も明らかではない。新書といえども、データを説得材料として使うのであれば、最低限の情報ソースを明らかにするのが文筆業界でのルール、読者に対する礼儀、また研究者としての誠実さではないのだろうか。また、中東に関する箇所は、むしろ初めからない方がいい。「地政学」を冒頭で批判する著者等は、実は自身等が「地政学」の論調に飲み込まれてしまっているようにすら思える。またハンティントン教授の「文明の衝突」論を安易に引用する等、全体的に「雑音」が気になる著書である。経済合理性を説くのであれば、一貫して議論を纏め上げて欲しかった。
この評価・レビューへの支持:投票総数 17件中 15票の支持
|