名言集によるローマ文学へのいざない(評価: )
生活人新書というのは、「蕎麦屋のしきたり」、「6番アイアンの教え」、「ビジネスマンのための「個性」育成術」なんてのから始まる新書で、まあ、これを見ればどの辺を狙っているのか分かりますね。で、この本もそうか、というと、うれしいことに違います。たしかにラテン語の文法とか、難しいことは全く書いてないので、すらすら読めるし、文章もかなり気楽な感じではあります。が、遊び心いっぱいで華やかな感じから一転、追放されて悄気返っているオウィディウスや、辛辣なユウェナリス、羨ましいご隠居セネカなど、ここに紹介されている名言の背景説明が楽しく、出典のいくつかでも実際に目を通してみたいと思わせる優れた読み物です。ラテン語の原文とカタカナによる読みが付けてあります。なぜか英訳もついていますが、おまけとして楽しめます。しかし、何と言ってもすごいのは、いかにもチープで「生活人新書的」イラストと本文のミスマッチでしょう。Silent leges enim inter arma. (武器と武器の間では、法律は沈黙するのだから。) のページに、特売品売り場で争うおばちゃんのイラストなんだから、キケローも唖然だ。本文は出典の「ミロ弁護弁論」についての分かりやすい背景説明なんだけど。この落差が気にならない、あるいは楽しめる人には5つ星でしょう。
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