外交官の仕事(評価: )
「鈴木宗雄事件」の真相を語った『国家の罠』がベストセラーになるなど、何かと話題の論者なので気になって手にとって見た一冊。著者は現在起訴休職外務事務官の肩書にある外交官。「鈴木宗雄事件」の渦中で背任・偽計業務妨害容疑で逮捕、現在裁判闘争中にある。
本書はそんな著者によるモスクワ駐在時代の回想録である。新人外交官としての在英研修、そしてモスクワへの着任。著者の回想を通して、外交官の仕事と外務省という組織の一面が見えてくる。著者のアクティブさと現地で多様な人脈を築き上げていく様は圧巻。著者はその人脈を生かし、末期ソ連政治の激動の中で様々な機密情報を獲得することに成功を収めていく。
著者が交流を深めるソ連のインテリ層たちとの対話も興味深い。ソ連という絶対的権力社会の中でいかに宗教や反体制的な学問がしたたかに生き残ってきたのかが垣間見れる。
まさに「事実は小説よりも奇なり」。本書は著者の人脈を通してみたソ連崩壊過程の貴重な歴史の証言であり、著者の文章の巧みさも相まって、読んでいてドキドキワクワクさせられるようなエキサイティングな一冊となっている。とても面白かった。
この評価・レビューへの支持:投票総数 1件中 1票の支持
|