知られざることを垣間見る衝撃(評価: )
昨年、本作をモデルにして2時間ドラマが作られたが、「よど号」が北朝鮮に到着するまでで終わった。しかし、「よど号」事件とは、それは単なる始まりでしかないのである。ハイジャック事件自体は記憶にあっても、そこから何があったのか知らない人の方が圧倒的に多い。知られざることを紐解こうというジャーナリズムとして最高峰の一冊であることは疑う余地がない。某新聞社は新入社員に参考図書として配ったらしい。ただ、著者がリーダー・田宮高麿と旧知の仲であったことは忘れてはならない。取材の下地として、彼だからこそそこまでメンバーに話を聞けたのでもある。ただ、本作品の上梓後、著者がよど号グループから非難を浴びたことを考えると、著者の作ったディテールを除く事実関係への信憑性は限りなく高いといえる。 本作のメーンとなるのは、間違いなく、メンバーが北朝鮮に到着して以降の物語である。本作に書かれていた出来事を読者は果たしてどこまで知っていただろうか?いや、おそらく知らなかったことばかりであろう。 600頁を超える量を読んだことへの達成感はもちろんあるが、それでも読後感がスッキリしないのは、「知られざることを<知る>」までは到達できず<垣間見た>だけで終わってしまうからか。これがすべてではない。つまり、それは北朝鮮という国が不明瞭であることの証明でもある。 北朝鮮問題が表面化している昨今、その原点ともいえる「よど号」事件についての理解を今こそ深めようではないか。
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