共産党がオルグに成功する話(評価: )
突然のブームに乗って読んでみたが、正直、呆れた。あまりにも単純な話なのだ。
労働環境の悲惨さの描写は良いと思う。これはルポルタージュ的な価値があっただろう。しかし物語自体は、呆れるほど単純な勧善懲悪である。悪党はひたすら悪く、弱者はひたすら善で、労働者間の裏切りのようなテーマさえない。薄っぺらとしか言いようがない。
これが若者に受けるのは、敵をやっつけるテレビゲームと同じだからだ。悲惨な労働環境には共感できるし、テレビゲーム感覚の勧善懲悪の単純な話だから、物語にも入り込めるわけだ。
しかし物語の本当の結末は、最後の「附記」に「この後のこと」として書かれている:
「漁期が終って、函館へ帰港したとき、「サボ」をやったりストライキをやった船は、博光丸だけではなかったこと。二、三の船から「赤化宣伝」のパンフレットが出たこと。」
何のことはない、悲惨な労働環境につけこんで、共産党のオルグが成功しただけなのである。
その共産党の支配下で、いかに労働貴族が生まれ、自由が剥奪されたかという「この後」のさらに「後」を知っている人間は、こういうお話を読んでも、呆れてため息をつくばかりである。
共産党の入党者が増えているのだという。それでは支配者の顔が変わるだけだろう。所詮、大衆は支配されたがっているヒツジなのか。あるいは「支配されたい」というよりも「面倒見てもらいたい」のかな(笑)。これじゃ共産党も大変だな。まったく世も末だが、まあ、マルクスも言ったとおり歴史は繰り返すのかもしれない。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として。
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