良くも悪くも「教科書的」(評価: )
軸となっているのは、ギリシア思想とヘブライ信仰が、ヨーロッパ思想の源泉である、ということです。そのため本書の構成は、第1部でギリシアの思想を取り上げ、第2部ではヘブライの信仰を、そして第3部でそれらの影響下にあるヨーロッパ哲学を説明しています。
各思想の要約としては、分かりやすいのかもしれません。ギリシア思想とヘブライ信仰ではどのような考え方が中心となっているのか、ということを、哲学的知識をもたない人でも分かるように丁寧に解説しています。第3部のヨーロッパ思想の部分でも、主要な哲学者の論をまとめています。あるていど網羅的で、専門用語はほとんどないという意味で、「教科書的」なよい入門書かもしれません。
ただ、私にとってはマイナスの意味で「教科書的」な本でもありました。思想の内容が羅列されることが多く、それらがどういう起原や由来をもち、後の思想にどのようにつながっていくのか、というつながりを感じることができませんでした。たとえば、もっとも大きなテーマでいえば、ギリシア思想とヘブライ信仰が、ヨーロッパ哲学に対して具体的にどのような影響を与えたのか、ということが私にはいまいち分かりませんでした。
入門書という枠があって、細かい部分に触れることができないために、羅列的にならざるを得ないこともあるかと思います。しかし、私は思想の流れを、本書に期待したために、読後はなんとなくすっきりしませんでした。よい意味でも悪い意味でも「教科書的」な本というのが、私の本書の印象です。
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