武家の女性の日常生活を知るための良書(評価: )
山川菊栄といえば、女性解放運動家としてのイメージが先行するに違いない。しかし、本書を読めば、彼女が優れた歴史家であることが分かるだろう。本書は、著者が母、千世(ちせ)から伝え聞いたことを文章化したものである。また、女性の視点から幕末の水戸藩の女性を生き生きと描写することに成功している。 また、私たちが、時代劇などでは知ることができない当時の生活作法を本書の中に見出すことができる。たとえば、アイロンがなかった当時、着物はどのように、しわ伸ばしをしていたのだろうか。 著者によると、着物に霧吹きをし(といっても、口に水を含ませ、着物に吹きかけるのである)、厚さ6~9センチもある重い板に着物を載せ、その上に同様の板を載せることでしわを伸ばしていたという。 また、当時、お菓子は貴重なものであり、ほとんど食べることがなかった。さらに、座布団というものもなかったので、お客が来ても渋茶ひとつ出すだけというかなり質素なもてなしだったようである。 このように、本書から、当時の日常生活に関する様々な情報を得ることができる。本書は歴史研究の1級の資料であるばかりでなく、歴史好きの人の娯楽としての読み物としても最高のものである。
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